男性更年期に漢方薬。八味地黄丸と貴禄宝の勧め

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男性更年期に漢方薬。八味地黄丸と貴禄宝の勧め

男性更年期は、緩やかな男性ホルモンの分泌低下がみられる時、社会生活や私生活において最も多くのストレスを受ける時、第二の人生の始まりの時、そんな時に見舞われる男の不定愁訴と呼ばれるのが男性更年期障害です。

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男性更年期障害の自覚症状トップ10

聖マリアンナ医科大学の男性更年期外来の受診者143人の更年期症状のトップ10を表しています。いずれの症状も、それらが心身の疲労の表れと捉えられてきた過去がうなづける気がします

集中力の低下 44.3%
無気力 43.8%
不眠 37.6%
不安感 30.9%
性欲低下 21.6%
頭のモヤモヤ 21.1%
頭が重い 20.1%
イライラ 19.6%
発汗 18.0%
ED 18.0%

男性更年期障害の代表 八味地黄丸

男性更年期障害に使われる漢方薬は数多くありますが、最も代表的な漢方薬は八味地黄丸です。八味地黄丸の効能や効果には男性更年期障害の症状で
・下半身の脱力感、性欲の減退などの生殖機能の衰え
・気力・精力の減退
・冷え、しびれ
男性更年期障害以外では
・頻尿・夜間頻尿
・排尿困難
・前立腺肥大症
・腰痛
・坐骨神経痛
・かすみ目

などの記載があります。これらの症状を目安に使ってもよいのですが、専門家の立場から八味地黄丸の処方の意味を掘り下げるとこうなります。

男性更年期とは=労 漢方の考え方

漢方では男性更年期に現れるこれらの症状を改善するために「労=ろう」という考え方で治療法を組み立てます。労には2つのタイプがあり、一つは血液中の水分が不足することによる体液代謝不全と、体液代謝不全に胃腸機能の低下が加わって熱が滞ってしまう労があります。
参照 河合斎の血痺虚労病脈証并治第六 解説3条

さらに、
虚労、腰痛し少腹拘急して小便不利の者は八味腎気丸これを主どる。

虚労の病証で腰痛、少腹拘急、小便不利を伴う者は下焦に寒有り腎気虚する者で腎水巡らない為に虚労を生じたもので下焦の寒を去り血を滋し血熱を和す、八味腎気丸(八味地黄丸)の主治である。
※血液浸透圧が低下し組織、組織間に水が停滞し血中に体液が乏しく血熱。下焦瘀血性の腎虚血熱
血痺虚労病脈証并治第六 解説15条

解説から分かるように八味地黄丸がよく効くのは、労という病証の為、血液体液循環が低下して腎気が衰え、瘀血性の腎虚血熱を起こし、そのために腰痛、下腹部の引き攣れ、小便が出ないなどの症状を起こしている時です。

さらに、八味地黄丸は男性が若さを保つ妙薬です。老化に伴って現れる血液体液循環の低下、下腹部に瘀血を作らないための予防薬として私自身は20年以上も前から毎日愛用しています。

もう一つのお勧め 貴禄宝S(きろくほう)

河合薬局では、八味地黄丸と併せて飲むと効果的な男性更年期障害の改善におススメの漢方薬がもう一つあります。それが貴禄宝S(きろくほう)です。

貴禄宝は、亀鹿二仙膠をもとにした処方です。亀鹿二仙膠の成分は亀板と鹿角、枸杞子と人参です。亀板は亀の甲羅で「腎」の「陰」を補います。「腎」は生命力や生殖力と関係する臓であり、「陰」は潤い冷ますものです。

一方で鹿角は鹿の角であり、「腎」の「陽」を補います。「陽」は温めて活力を生むものです。この二つは言うなれば相反する作用を持つものですが、人間の体の中で欠かすことのできない「陰」と「陽」を同時に補うことが「精」を強くするために必要と考えるのです。

亀の甲羅や鹿の角と聞くと一歩引いてしまうイメージがあるかもしれませんが、このような動物性の生薬は、植物性の生薬に比べ、力強さを持っているとされます。より強く「精」を補う場合には「亀鹿二仙膠」は非常に有用な処方となるわけです。

男性更年期の悩み解決の一助として八味地黄丸+貴禄宝Sをお試し下さい。

相談例 50代男性 夜間のトイレ

夜中に3回も4回もトイレに起きる。健康診断でクレアチニンが上限ギリギリと言わて腎臓の機能が心配。すぐに疲れてなかなか疲れが抜けない、という健康の悩み相談の男性です。今回のブログでもご紹介した八味地黄丸と貴禄宝を朝晩飲むようにお勧めしました。

半月後
夜中に起きる回数が半分くらいに減ってよく眠れるようになった、と喜ばれる。

2か月後
夜中のトイレに起きることがなくなった。起きても1回。疲れが溜まらなくなった気がする。

3か月後
健康診断で腎機能の数値が正常範囲になったと喜ばれる。

5か月後
初めの頃に訴えていた夜中のトイレの悩み、疲労感の悩みが気にならなくなってきた。今まで1日2回の服用を1日1回に減らして続けて頂くようお勧めした。八味地黄丸と貴禄宝は男性の病気予防、老化予防の妙薬。健康維持に続けるようにお勧めしたいと申し上げた。

まとめ

今回ご紹介したのはあくまでも基本処方で、男性更年期障害に使う漢方薬は検索してみると分かりますが、ご紹介した薬以外にもたくさん出てきます。
ここでお伝えしたかった大切なことは、男性更年期の漢方薬を選ぶ時、漢方では男性更年期障害の症状をどのような体の原因で起こしていると考えているのか、病人の症状の虚実、長引く症状では瘀血の手当ても考慮することが大切です。

さらに、男性更年期障害では自律神経の不調和が多く見られます。河合薬局では自律神経を整えるレム(LEM=シイタケ菌糸体培養培地抽出物)を併用して喜ばれることが多くあります。お困りの方は一度ご相談下さい。

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