男性不妊の漢方 5処方 乏精子症 精子無力症に漢方薬の勧め
男性不妊の漢方 5処方 乏精子症 精子無力症に漢方薬の勧め
男性不妊の割合は、不妊全体の24%もあります。不妊の原因は女性だけの問題ではなく男性の側にも多いことが分かります。乏精子症や無精子症など男性不妊の悩み解決に漢方がお役に立つかもしれません。
男性不妊の原因とタイプ
男性不妊の原因の約9割が精子をつくり出す機能自体に問題があり、精子をうまく作れない状態、造精機能障害と呼ばれるものです。造精機能障害にはいくつかの種類があります。
乏精子症
精液の中に精子はあるものの精子数が少ない状態です。精子の数が基準値を少し下回る程度ならタイミング法が行われ、精子の数がさらに少ない状態では人工授精・体外受精・顕微授精などの不妊治療が行われます。
精子無力症
精子濃度の基準は精子1ml中に1,500万以上とされていますが、精子の数は正常にあるけれど、作られた精子の運動率が悪い症状です。正常とされる運動率40%を下回る状態です。精子の状態により人工授精や顕微授精の不妊治療が実施されます。
無精子症
造精機能障害の中で一番強い症状が無精子症です。精液中に精子が一匹もいない状態です。
男性不妊の漢方治療の基本
男性不妊に対する漢方治療は、労という考え方で改善を目指します。労とは陰虚と呼ぶ、血液中の水分が不足することによる体液代謝不全があります。
激しい運動をして一時的に血中の水分が汗で失われることはありますが労は慢性的な血中の水分が不足した状態です。
さらに、体にこもった熱を外に取り出すことが出来ず一層激しい労の状態を起こす場合もあります。
漢方で腎は腎臓という意味ではなく、働きを指す言葉です。腎にある精気を「腎気」と呼びます。特に大切なのが、「先天の気」と呼ぶ、生まれつき備わっている腎気で精力や生命力を指します。
男性不妊の悩み解決には、この腎気と呼ぶ子孫を残すための体のエネルギーを高めることが大切です。血液を潤すことが出来ないこれら労の体では 腎虚と呼ぶ精力・生命力を作り出すエネルギーが低下してしまいます。
陰部が冷え精力弱く精液自漏し体は痩せておもだるく若年寄のように体が不自由である、と解説文にあるのはそのことです。
参照 河合斎の金匱要略解説 血痺虚労病脈証并治第六 解説6条
精力減退にお勧め、桂枝加龍骨牡蛎湯
労で陽気と陰気が極端に乏しいことが原因で起こる精液漏れ、胃腸虚弱、軟便下痢の場合、陰虚が激しい時は、桂枝加龍骨牡蛎湯、陽虚が激しい時は、天雄散が宜しいと記載されています。
参照 血痺虚労病脈証并治第六 解説8条
男性不妊の症状で、特に桂枝加龍骨牡蛎湯が良いのは性機能症状で性欲低下、勃起障害、射精感の消失などの精力減退などの症状が有る時は、まず試してみるとよい漢方薬です。
さらに効果を高めるために河合薬局では、貴禄宝S(きろくほう)を併せてお勧めしています。貴禄宝Sは後述する内容成分の漢方薬で陰虚不足を補う特効薬的な効果が期待できます。
前述したように労とは陰虚と呼ぶ、血液中の水分が不足することによる体液代謝不全が原因とさらに、体に滞った熱を外に取り出す力が低下した病証です。
腹痛や動悸、鼻血、夢精したり、手足が重だるく痛んだり疼いたり、火照ったり、喉や口がカラカラに乾くのは胃気虚し津液巡らず血乾くという原因が有るからだと解説されています。
参照 血痺虚労病脈証并治第六 解説13条
小建中湯と黄耆建中湯
ストレスによる神経過敏、疲労感、関節・筋肉症の痛み、発汗、ほてり、記憶力・集中力の低下がある場合は小建中湯や黄耆建中湯を 試してみるのが良いでしょう。
黄耆建中湯は小建中湯に黄耆を加えた漢方薬です。皮膚が汗でベタベタしていたり、逆にカサカサしている体質にとても良いでしょう。
男性不妊の妙薬、八味地黄丸+貴禄宝
男性不妊で悩んでいる男性の中には持病もなく普段元気な方が多くいます。そのような方にお勧めなのが男性若返りの妙薬、八味地黄丸です。
八味地黄丸は前述した男性不妊の悩み解決に腎気と呼ぶ子孫を残すための体のエネルギーを高める漢方薬です。八味地黄丸に貴禄宝を併せて飲むのが効果的です。
河合薬局の漢方相談でご夫婦で不妊悩み相談をお受けした方です。
ご主人は精子無力症で運動率0%でした。漢方の体質改善の結果、半年後に55%に回復し、奥様も漢方体質改善が実を結び妊娠した方があります。不妊の悩み相談ではご夫婦揃って二人で体質改善に取り組むことが大切です。
精力増強の漢方薬 貴禄宝S(きろくほう)
ススメの漢方薬として紹介した、桂枝龍骨牡蛎湯、小建中湯、黄耆建中湯、八味地黄丸と併せて飲むと効果的な漢方薬が貴禄宝S(きろくほう)です。
貴禄宝は、亀鹿二仙膠をもとにした処方です。亀鹿二仙膠の成分は亀板と鹿角、枸杞子と人参です。亀板は亀の甲羅で「腎」の「陰」を補います。「腎」は生命力や生殖力と関係する臓であり、「陰」は潤い冷ますものです。
一方で鹿角は鹿の角であり、「腎」の「陽」を補います。「陽」は温めて活力を生むものです。この二つは言うなれば相反する作用を持つものですが、人間の体の中で欠かすことのできない「陰」と「陽」を同時に補うことが「精」を強くするために必要と考えるのです。
男性不妊を自律神経の安定から支えるレム(LEM)
男性不妊の原因は男性ホルモンの減衰や心理的、社会的な背景にも大きく影響されます。これらの背景はうつ、不安感などの精神・心理症状が強く表れる原因にもなります。
河合薬局では自律神経を整えるレム(LEM=シイタケ菌糸体培養培地抽出物)を併用して喜ばれることが多くあります。お困りの方は一度ご相談下さい。
まとめ、相談ご希望の方へ
今回ご紹介したのはあくまでも基本処方で、男性不妊に使う漢方薬は検索してみると分かりますが、ご紹介した薬以外にもたくさん出てきます。
ここでお伝えしたかったのは、男性不妊の漢方薬を選ぶ時、漢方では男性不妊の症状をどのような体の原因で起こしていると考えているのか、病人の症状の虚実、長引く症状では瘀血の手当ても考慮することが大切です。
また、漢方薬は天然原料の薬で、さらに製造法の良し悪しによって品質効果に大きな違いが現れます。漢方薬は信頼できる専門家に相談して服用することが大切です。不妊でお困りの方は、一度ご相談下さい。