慢性蕁麻疹は漢方で完治を目指す!皮疹と痒みで判別
慢性蕁麻疹は漢方で完治を目指す!皮疹と痒みで判別
あなたは蕁麻疹が1か月以上も続き抗ヒスタミン薬や抗アレルギー剤を飲んで痒みを抑える繰り返しで、薬を飲まないとぶり返す痒みに苦しんでいませんか。
軽い蕁麻疹は数分~1時間位の時間で消えてしまいますが、漢方の蕁麻疹相談の方の中には毎日のように夕方~就寝まで蕁麻疹の辛い痒みが続いたり、1年以上も蕁麻疹が繰り返している方も少なくありません。
薬を飲まなくても蕁麻疹が出なくなり、痒みの恐怖を忘れることが出来れば嬉しいですね。長引く蕁麻疹の悩み解決に漢方薬がお役に立つかもしれません。
漢方の蕁麻疹治療の意義
漢方による蕁麻疹の治療は、即効性の点では痒みを鎮める抗ヒスタミン剤などの西洋薬にはかないません。急性蕁麻疹と呼ばれる短期間で痒み止めの飲み薬を飲まずに済むように治る蕁麻疹の場合は西洋薬の治療を優先することをお勧めします。
しかし1か月以上も、中には数年もの間繰り返す蕁麻疹には漢方の蕁麻疹治療に大きな意義があります。河合薬局の蕁麻疹漢方相談でも2年間も痒み止め内服薬を繰り返している相談を受けたことがあります。
漢方薬の蕁麻疹治療では一朝一夕に蕁麻疹が出なくなることは望めないかもしれません。蕁麻疹の根治には根気強く体質改善に取り組む辛抱強さが必要かもしれません。しかし漢方で蕁麻疹を治す意義はとても大きなものがあります。
それは、痒み止めの飲み薬に頼らなくても、蕁麻疹が再発することなく、安定した良い状態を維持できる体質に整えることを漢方薬の蕁麻疹治療が目指しているからです。
蕁麻疹の原因 漢方の考え方
漢方では蕁麻疹を皮膚の表面に熱が滞った状態と考えて治療方法を考えます。私たちの体は食べ物を体内で熱エネルギーに変えて体を維持しています。ですから体の中にはいつも熱が充満しています。
一方、余分な熱を体の外に取り出してバランスを保っています。大便、小便は食べかすや水を取り出しているだけでなく熱を取り出す手段です。
女性の場合は生理の出血によってもたくさんの熱を取り出しています。
さらに皮膚からも汗によって熱を取り出しています。私は冷え性で汗をかかないという方でもゴム手袋を付けて作業をしていると汗をかいていることを意識すると思います。
蕁麻疹の漢方治療を考える際は大小便や生理で熱を取り出せない原因、皮膚の働きが悪く体表から熱を発散させて飛ばすことが出来ず熱が滞ってしまう原因を考えて治療方法を組み立てます。
皮疹(ひしん)でチェック 蕁麻疹の重症度
前述のとおり漢方では蕁麻疹を皮膚に熱が滞った状態と考えて治療するとお伝えしました。そして、皮膚の熱の滞りが浅いのか深いのか、強いのか弱いのかを皮疹(ひしん)によって判断します。また消えるまでの時間でも蕁麻疹の重症度を判断します。
皮膚が赤いだけで盛り上がりのない蕁麻疹
蕁麻疹で皮膚が赤いだけで盛り上がっていない発赤(ほっせき) や蚊に刺されたようにポツポツした丘疹(きゅうしん)の蕁麻疹は皮膚の発散が悪いために皮膚から熱を取り出す働きが弱く皮膚の表面に熱が滞っているタイプの蕁麻疹です。
このタイプの蕁麻疹に河合薬局では越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)を使うことが多くあります。必ず充血炎症を抑える黄連解毒湯(おうれんげどくとう)を一緒にお勧めします。
皮膚がミミズ腫れになる蕁麻疹は熱が深い
前述の蕁麻疹に比べて皮膚がミミズ腫れになったり地図状に盛り上がった蕁麻疹は皮膚にホテリを感じるくらい熱感が強く痒みが強い蕁麻疹です。
このタイプの蕁麻疹は熱の滞りが皮膚深くまで及び血熱(けつねつ)と呼ぶ血液に熱が及んでいる状態や湿熱(しつねつ)と呼ぶ血液中の水分に熱が及んでいる状態です。皮膚が赤くなっているだけで皮膚のごく表面に熱が滞っているだけの症状に比べて蕁麻疹が消えるまでにかかる時間も長く、手強い蕁麻疹です。
このタイプの蕁麻疹には十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)と茵陳蒿湯(いんちんこうとう)を併せてお勧めすることが多くあります。十味敗毒湯と茵陳蒿湯の組み合わせは、血液中の水分に熱が加わった湿熱の状態を治し、皮膚の深い場所に熱が及んだ症状を治す働きがあります。余談ですがこれらの漢方薬は痛い、痒いニキビで湿り気を帯びた赤ニキビにもよく効きます。
参照 生理前に悪化する赤ニキビ・化膿ニキビを早く綺麗に治す漢方
ストレスと蕁麻疹
過度のストレスは蕁麻疹を長引かせたり悪化させる原因になります。蕁麻疹の原因が食べ物などに見当たらない場合や蕁麻疹が毎日出たり、1か月以上も長引く場合はストレスの原因を考えてみる必要があるでしょう。
ストレスは自律神経のバランスを崩します。「頑張らなくちゃ」モードの時には交感神経が優位になりリラックスモードの時には副交感神経が働きます。交感神経と副交感神経はちょうどシーソーのようにバランスを取って私たちの体を維持しているのですが強いストレスが続くと自律神経というシーソーのバランスが崩れてしまいます。
自律神経のバランスが崩れ自力で戻せない状態が続くと免疫にも異常が現れてきます。免疫が亢進し過ぎるとアレルギーである蕁麻疹も治り難くなるのです。
ストレスを和らげ 免疫を調整するレム(LEM)
レム(LEM)はシイタケ菌糸体培養培地抽出物、サトウキビの繊維成分に米ヌカをまぜた固形培地にシイタケ菌を接種し、培養、粉砕、変温処理、酵素により自己消化を経て活性化した代謝成分を抽出したエキスです。
LEMは醗酵しているので、分類すれば納豆、チーズの類の醗酵食品です。LEMは免疫力を調整するので、免疫低下、免疫力過剰、免疫の乱れを調整する作用があります。
河合薬局では蕁麻疹の辛い症状を治す漢方薬と合わせて再発を防ぎ治療薬に頼らなくてもよい状態を維持するための体質改善に免疫を整えるレムをお勧めしています。
胃腸の働きと蕁麻疹
漢方では様々な症状の原因と改善の方法を胃腸の働きの良し悪しと関連付けて考えます。蕁麻疹の場合も胃腸の働きが良いか悪いかによって治療効果が違うことをたびたび経験します。
蕁麻疹が治り難い体質の方は胃腸が冷えている場合が多くあります。胃腸の働きは生命を維持するためのエネルギーの取り入れ口ですから、胃腸の冷えは胃腸の機能低下を表わし、生命維持のエネルギーが減少していることにつながっています。
現代は、冷たい飲み物や冷たい食べ物、冷房によって胃腸や下半身の冷えが悪化しています。胃腸を温め冷えを治すことが自然治癒力を高め蕁麻疹を自力で治す体作りに大切なのです。
胃腸の冷えを治し蕁麻疹を予防する蘭香(らんこう)
胃腸の冷えを治し消化吸収力を高めて蕁麻疹の予防に良い食べ物をご紹介します。
それは薬味です。ネギ、生姜、山葵、山椒、胡椒などの薬味は胃腸の冷えを治しお腹を温める食べ物です。胃腸の冷えが気になる方は積極的に摂りましょう。
参照 冷え性(冷え症)によく効く漢方薬の選び方。改善のヒントはお腹の冷え
薬味が上手に摂れない方にお勧めなのがミックス香辛料の蘭香です。ミックス香辛料 蘭香(ランコウ)はケイヒ・ウイキョウ・ニクズク・ウコン等10種類の香辛料をミックスした健康スパイス。食欲増進にご家族皆様でご愛用頂ける飲んで良し、料理によしのミックス香辛料です。
参照 ミックス香辛料 蘭香
相談例 眠れないほどの蕁麻疹
20代の女性です。1年前から毎日夕方~夜にかけて、地図状に盛り上がる熱を持った痒みの強い蕁麻疹の漢方相談です。蕁麻疹の範囲は全身で、顔面・腕・膝・お腹・背中で抗アレルギー剤を常用しても強い痒みでよく眠れない時もあるそうです。
初めは十味敗毒湯を主に1週間、漢方薬を飲んで経過を伺いました。痒みが強い皮膚病で漢方薬を飲む場合は、7日~10日ほどの短期間試して症状が和らぐか、逆に悪化することがないか、様子を確認することが大切です。
彼女の場合、1週間後、顔の蕁麻疹が出なくなりましたが他の場所は朝食後も蕁麻疹が出るとのこと。そこで越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)を加えて皮膚の熱を冷ますように漢方薬を修正しました。
再び1週間で様子を伺うと蕁麻疹が出ない日もあるが蕁麻疹の数が多い日があるとのこと。それまでの経過からもうしばらくは前回の漢方薬を変えずに2週間継続して貰いました。
その後、蕁麻疹の数が減り、時間も3時間位とやや短時間になり、3か月経つ頃には蕁麻疹はすっかり出なくなりました。その後は漢方薬を少しずつ減らしながら経過を見て、半年経過する頃には漢方薬を飲まなくても蕁麻疹が出なくなったため漢方薬を休止しました。
まとめ
漢方の蕁麻疹改善は皮膚の熱の滞りを治すことが目的です。皮疹の状態から熱の滞りの深浅、強弱を判断し加えて胃腸の良し悪し、過度のストレスによる免疫不調和を判断することが大切です。
蕁麻疹によい漢方薬は検索してみると分かりますが、ご紹介した漢方薬以外にもたくさん出てきます。蕁麻疹の漢方薬を選ぶ基準は皮膚の発散力、血液体液循環の良し悪し、さらに長引くお悩みには瘀血(おけつ)の有無などを考慮することが大切です。
ここでお伝えしたかったのは、蕁麻疹の漢方薬を選ぶ時、行き当たりばったりに漢方薬を選ぶのではなく、漢方では蕁麻疹をどのような体の原因で起こしていると考えているのか、を考えて決めることが大切です。
さらに、長引く症状では免疫の不調和や自律神経の不調和が多く見られます。河合薬局では自律神経を整えるレム(LEM=シイタケ菌糸体培養培地抽出物)を併用して喜ばれることが多くあります。お困りの方は一度ご相談下さい。