冷え性のおすすめ漢方薬を上手に選ぶコツは胃腸が弱いかを自己判定

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冷え性に悩む女性のイメージ画像と冷え性の漢方

冷え性のおすすめ漢方薬を上手に選ぶコツは胃腸が弱いかを自己判定

あなたは冷え性の悩みをお持ちではないでしょうか。手先や足の冷えを改善する冷え症の漢方薬で体の芯から解決出来ればこんな素晴らしいことはありませんね。漢方の冷え性対策をお役立て下さい。

ウィキペディアより抜粋

冷え性という病名は西洋医学にはなく病気として扱われず、単に身体の自覚症状(不定愁訴)に過ぎないと考えられている。東洋医学では治療すべ冷え症の診断基準項目の例

重要項目
1、他の多くの人に比べて寒がりの性分だと思う。
2、腰や手足、あるいは体の一部分に冷えがあってつらい。
3、冬になると冷えるので電気毛布や電気敷布、あるいはカイロなどをいつも用いるようにしている。

参考項目
1、身体全体が冷えてつらいことがある。
2、足が冷えるので夏でも厚い靴下をはくようにしている。
3、冷房のきいているところは身体が冷えてつらい。
4、他の多くの人に比べてかなり厚着をする方だと思う。
5、手足が他の多くの人より冷たい方だと思う。
抜粋ここまで
河合薬局電話相談

冷え症 漢方の考え方

漢方では冷え症を虚弱体質という言葉に近い意味合いで考えています。冷やす食べ物、温める食べ物という言葉を耳にしますがこれらは漢方の考え方から来ている言葉です。

漢方薬の処方に配合されている成分一つ一つに対して温める性質の薬、冷やす性質の薬に分けています。食べ物についても同じで冷やす食べ物、温める食べ物という呼び方をします。

漢方では冷え性は胃腸が弱いのが原因

漢方では冷え性を単なる感覚的な症状とは考えていません。冷え性は胃腸が弱く冷えて働きが低下している状態だと考えています。

胃腸の働きは生命を維持するためのエネルギーの取り入れ口ですから、冷え性が胃腸の機能低下を表わしていることを考えれば、冷え性は生命維持のエネルギーが減少していることになります。

現代は、冷たい飲み物や冷たい食べ物、冷房によって胃腸や下半身の冷えが悪化しています。快適と思われている環境が、実は冷え性の原因になっているのです。

冷え性によって胃腸機能の低下が続くと冷え性の悩みに止まらず生理痛 生理不順 不妊などの婦人科疾患、ガン 糖尿病などの生活習慣病、胃 腸などの消化器疾患の原因の一部になっていると漢方では考えています。

漢方では見かけの冷え症と呼ぶ症状がある

冷え症でお悩みの方の中には本当の冷え症状ではない場合があります。例えば、水仕事のあと濡れた手をそのままにしておくと気化熱が奪われて冷えます。

元々皮膚の働きが悪く、汗を乾かすことが出来ずいつも手足が湿っている体質の方は皮膚が濡れているために冷えているのでお悩み症状の改善には濡れた皮膚を乾かすための漢方薬が必要です。

ここでお伝えする冷え性の漢方とは原因も解決方法も異なりますから注意が必要です。本当の冷え症ではなく見かけの冷え症もあるのだということを知っておいて下さい。

冷え性 2つの原因

漢方では冷えの原因を2つに分けて考えて漢方薬を選びます。一つは元来胃腸が弱く、働きが悪い原因で起こる冷え性と、もう一つは寒さに当たって血液循環が悪くなり、それがもとで胃腸の働きを低下させて起こる冷え性です。

漢方ではいずれの原因も胃腸の働きを損ねたことで冷え性を起こすと考えています。したがって漢方の冷え性治療は胃腸を温め、胃腸の働きを高めることが冷え性の改善になると考えています。

胃腸の機能低下が原因の冷え性 漢方薬

女性は男性に比べて元々胃腸の働きが弱い体質を持っています。それは女性は日頃から血液循環を子宮・卵巣に多く巡らせなくてはならず、その反面、胃腸に回す血液循環がお留守がちになるためです。

胃腸に十分な血液を送ることが出来ないので胃腸を活発に動かす力が弱く胃腸の機能が不活発になりやすいのです。

参照 生理痛に効く漢方薬を原因と体質別に選んで鎮痛薬不要の体質作り

腹証の自己チェックで冷え性体質チェック

男女問わず普段から自分は胃腸が弱いと思っている方は勿論ですが、弱いと思っていない方にもお勧めなのが腹証(ふくしょう)の自己チェックです。

仰向けになり膝を立てた状態で指でお腹を押してみます。直接お腹に指を触れることが出来る服装であれば確認がしやすいです。

押す場所はみぞおち~おへそにかけてのラインで人差し指と中指の2本を立て、上から下に指を少しずつ移動させながら押してみて下さい。

やや強く押してみて痛みを感じたり不快な圧迫感を感じたり強い動悸打ちやお腹がゴロゴロ・チャプチャプ鳴ったりしませんか? お腹が冷たくありませんか?

腹証チェックでお腹がチャプチャプゴロゴロ鳴る症状を胃内停水(いないていすい)と呼びます。
また、腹証チェックでみぞおち~おへそに押しながら指を少しずつ移動させて行くとドキンドキンの動悸打ちが強い場合も胃腸の働きが悪い証拠です。

胃腸の冷えが原因の冷え性にオススメ漢方薬は

胃腸の機能低下が原因の冷え性に使う漢方薬はたくさんありますが、ここでは河合薬局で最も使用頻度の高い漢方薬を3つお教えします。

呉茱萸湯(ごしゅゆとう)、人参湯(にんじんとう)、大建中湯(だいけんちゅうとう)です。

冷え性の軽い症状に使うのが呉茱萸湯、お腹の冷えが一番強い症状に使うのが大建中湯です。

食べ物で冷え性にはお腹を温める生姜がよいと言われます。呉茱萸湯、人参湯、大建中湯 いずれの漢方薬にも生姜が含まれています。
※人参湯と大建中湯には温める力の強い乾姜(かんきょう)生姜を燻製にしたものが使われています。

漢方では生姜などの辛味(薬味)はお腹を温め働きを高めるので気剤(きざい)と呼んでいます。

また、前述の通り漢方では冷え性の改善には胃腸の働きを高める治療法を取ると書きましたが、そのためにはお腹のチャプチャプを治したり、胃腸の水はけをよくする水剤(すいざい)の働きのある漢方薬を使います。

漢方の冷え性治療では、胃腸の働きを高める気剤と胃腸の水はけを良くする水剤を組み合わせて使うことが多くあります。

呉茱萸湯の冷え症状

呉茱萸湯がよく効く冷え性の症状は手が冷えるタイプの方で、冷えが原因で起こる頭痛、しゃっくりにも即効性があります。

参照 月経前症候群(PMS)生理前の頭痛は鎮痛剤に頼らない体作りの漢方 

冷え性を改善しお腹を温める人参湯

冷え性が治った女性のイメージ画像人参湯は冷え性の中でもお腹が冷えて胃からおへそ付近のお腹の痛みに一番効果のある漢方薬です。お腹が冷えてお腹がしぶらず下してしまう下痢にもよく効きます。

前述の腹証自己チェックではみぞおち~おへその真ん中付近に痛みを感じたり不快な圧迫感を感じたりドキンドキンの動悸打ちやお腹がゴロゴロ・チャプチャプ鳴ったりがある筈です。

人参湯を温かい白湯で飲んでしばらくするとお腹が温まって来る感覚が現れてくれば最良です。胃腸の働きが良くなってくると血液循環も整って末端の血流が改善され冷え症状も和らいで来る筈です。

下腹部の冷え痛みに大建中湯

大建中湯は腸の冷えがもっと強い場合に使う漢方薬です。下腹部の冷えと共に下腹部に手を触れるのも痛いような場合はガスが溜まり腸の痙攣によるもので、横隔膜も引っ張られるので下腹部からみぞおちの付近まで痛みが起こります。

このような冷えによる激しい腹痛にも大建中湯がよく効きます。

参照 更年期障害の腹痛に漢方。自分の体質を知る自己チェック法

寒さによる血液循環不良が引き金の冷え性

冷え性のタイプ2つ目は足・腰に寒冷を受け血液循環が悪くなったために胃腸機能が低下した冷え性の漢方薬です。

前述の胃腸の働きが悪い原因の冷え性は手の冷えに悩む方が多いのに対してこのタイプの方は下半身の冷え症状を強く訴えます。

冷えによる血流障害で腰痛やしもやけを起こすこともあります。

足先から冷え上がる冷え性にオススメ漢方薬

このタイプの方は当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)を試してみると良いでしょう。

胃腸の冷えが強く下痢しやすかったり吐き気がしやすかったり、手足が冷たいなどの冷え症状が強い方に合う漢方薬です。前述の腹証チェックではお腹全体が触ると冷たい筈です。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯を飲む時に河合薬局ではお腹を温める人参湯を一緒にお勧めすることか多くあります。

まとめ

漢方の冷え性改善は胃腸の冷えを治すことが目的です。胃腸を温め機能を高めることが漢方の冷え性対策なのです。

繰り返しになりますが漢方では冷え性を単なる感覚的な症状とは考えていません。冷え性は胃腸が冷えて働きが低下している状態だと考えています。

冷え性によって胃腸機能の低下が続くと冷え性の悩みに止まらず生理痛 生理不順 不妊などの婦人科疾患、ガン 糖尿病などの生活習慣病、胃 腸などの消化器疾患の原因の一部になっていると漢方では考えています。

冷え性を漢方で改善することはこれらの病気予防につながると考えれば漢方の冷え性治療の意義は大きいと思います。

冷え性によい漢方薬は検索してみると分かりますが、ご紹介した漢方薬以外にもたくさん出てきます。冷え性の漢方薬を選ぶ基準は胃腸の冷えの強弱、下半身の冷えの強弱、さらに長引くお悩みには瘀血(おけつ)の有無などを考慮することが大切です。

ここでお伝えしたかったのは、冷え性の漢方薬を選ぶ時、行き当たりばったりに漢方薬を選ぶのではなく、漢方では冷え性をどのような体の原因で起こしていると考えているのか、を考えて決めることが大切です。

さらに、長引く冷え性では免疫の不調和や自律神経の不調和が多く見られます。河合薬局では自律神経を整えるレム(LEM=シイタケ菌糸体培養培地抽出物)を併用して喜ばれることが多くあります。お困りの方は一度ご相談下さい。

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