月経前症候群(PMS)生理前の頭痛は鎮痛剤に頼らない体作りの漢方
月経前症候群(PMS)生理前の頭痛は鎮痛剤に頼らない体作りの漢方
あなたは生理前や生理中の頭痛に鎮痛剤や痛み止めによる一時しのぎを繰り返していませんか?
月経前症候群(PMS; Premenstrual Syndrome)は、生理前2週間~1週間位前から起こる体と心の不調です。生理時期の頭痛は女性にとって腹痛、ニキビと並んで多いお悩み症状です。
今回は、生理前や生理中の頭痛に鎮痛剤ばかりに頼らず早く上手に頭痛を改善する漢方薬をご紹介します。一時抑えの繰り返しではなく漢方の体質改善で鎮痛剤に頼らない体作りを目指しましょう。
生理前の頭痛に対する漢方の考え方
漢方では生理の頭痛をどのように考えて治療するのでしょうか。生理前の頭痛は血熱(けつねつ)と胃内停水(いないていすい)の2つの体質の原因を考えて漢方では治療法を組み立てます。
女性は生理前に限らず、普段から頭痛の悩みを抱えている方が多くいます。その原因の一つが女性特有の生理による原因です。
私たちは食べ物を体の中で熱エネルギーに変えて体を維持しています。したがって体の中にはいつも熱が充満していますが、一方で余分な熱を体の外に取り出してバランスを取っています。
例えば、大便や小便は食べかすや水を出しているだけではなく体内の熱を外に取り出す手段なのです。また、汗によっても体表から熱を飛ばして取り出しています。そして女性にとって体外に熱を取り出す手段として一番重要なのが生理です。生理は出血によって体にこもった熱を取り出しているのです。
ところが血液中にこもった熱を上手く取り出せず体に血液と熱の滞りが強くなった状態を漢方では血熱(けつねつ)と呼びます。
血熱が原因の生理前 頭痛
生理前の女性の体は普段にも増して子宮・卵巣周辺に血液をたくさん巡らせて生理に備えています。一方で漢方で血熱(けつねつ)と呼ぶ血液中の熱の滞りが強くなる時期でもあります。この血熱が生理前の激しい頭痛の原因になることがあります。
血熱は生理前に体に熱を溜め込む時期になるといっそう激しくなり、特に頭部上半身や下腹部に症状が強く表れます。
いわゆる「頭に血が上る」と言いますが体に滞った熱を頭から湯気を立てるように頭部上半身から取り出そうとしているのが血熱が原因の生理前の頭痛だと漢方では考えています。
血熱症状は激しい頭痛の他、脳の血流が悪くなる症状の怒りやすい、緊張、判断力低下、パニック、妄想症、集中力低下、攻撃的な性格に変わる、などの神経症状も強く現れることがあります。
生理前 頭痛におススメ漢方薬は
血熱が原因の生理前頭痛に河合薬局のお勧めは、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)と通導散(つうどうさん)です。
これらの漢方薬を飲む目安の症状は頭痛に加えて便秘で大便が硬い、頭に血が上りカァーっとする、怒りやすいなど神経症状を伴っている場合です。
さらに桃核承気湯は、舌の裏側を見ると血管の黒ずみが強く出ていることがあります。通導散の場合は生理痛で下腹部がチクチク痛む症状にもよく効くと思います。
いずれの漢方薬も初めは7日~10日位の短期間試して自分に合う合わないを確認しながら飲むことをお勧めします。
胃内停水+血熱が原因の生理前 頭痛
血熱が原因の生理前の頭痛でもう一つの体の原因は胃内停水して血中に水が入らず血熱を起こすタイプです。
水をたくさん飲んで血液を薄めなさいと聞くことがありますが、飲んでも胃がチャプチャプするばかりでいっこうに咽喉の渇きが治まらないということがあります。これを胃内停水と呼びます。
このような体の状態は、飲んだ水が血液中に溶けて行かずに胃に留まってしまい血液は薄まらず濃いままという状態です。このような時にも激しい頭痛を起こすことがあります。胃内停水が原因で頭痛を起こす場合は五苓散(ごれいさん)がよく効きます。
五苓散が効く体質の自己チェック方法は、仰向けに寝転んで膝を立てた状態でお腹(おへそ~みぞおち付近)を押すと胃内停水症状のチャプチャプ・ゴロゴロなど水の動く音がすることが多いです。
血熱による生理前の頭痛には五苓散単独で飲むより、前述の通導散と一緒に飲んでも良いでしょう。また、月経前症候群 (PMS) イライラ怒り易い症状の改善は血熱を治す漢方、でご紹介した抑肝散加陳皮半夏に五苓散を併せると、生理前のイライラ、カァーとする症状にもよく効くと思います。
参照 月経前症候群 (PMS) イライラ怒り易い症状の改善は血熱を治す漢方
胃腸虚弱が原因の生理前 頭痛におススメの漢方薬
月経前症候群(PMS)や生理前の頭痛には胃腸の働きが弱いことが原因の頭痛もあります。前述の血熱が原因の頭痛のタイプより胃腸虚弱が原因の頭痛で悩む女性の方が多いかもしれません。
その理由は、女性は元々男性に比べて胃腸の働きが虚弱だからです。子宮や卵巣に絶えず血液をたくさん回さねばならず、胃腸への血液循環がお留守がちにるためです。
自分で胃腸の働きが弱い自覚がなくても、仰向けに横になり膝を立てた状態でお腹を押すと、みぞおち~おへそ~下腹部にかけて、押して痛む場所や、硬かったり動悸打ちのある場所、触ると冷たいなどの症状があると思います。
このタイプの生理前頭痛に河合薬局のお勧めは呉茱萸湯(ごしゅゆとう)、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)です。
当帰四逆加呉茱萸生姜湯がお勧めの方は呉茱萸湯をお勧めしたいタイプに比べて冷え性で、手先、足先が冷たい・冷えやすい、しもやけが出来やすい、生理痛で腹痛が強い、などの症状がある方です。
関連 月経前症候群(PMS)の腹痛に漢方。自分の体質を知る自己チェック法
鎮痛剤に頼らない体質改善に瘀血改善の漢方
生理のたびに繰り返す頭痛に対して鎮痛剤に頼らず、体質改善を目指せるのも漢方の大きな特長です。
漢方の月経前症候群(PMS)生理前 頭痛の対策は、血熱と胃腸の働きを高める体質改善が重要だと書きましたが、長引く症状や辛い症状の原因の一つに瘀血(おけつ)があります。
瘀血とは、血液の流れが滞った状態のことです。
私たちの体は悪いところがあるとその場所に血液を集めて自力で治そうとします。新鮮な血液がスムーズに届くかどうかが自然治癒力が活発に働くかどうかの決め手です。
ところが瘀血(おけつ)が血液の流れを滞らせているとせっかくの自然治癒力が上手く発揮されません。長引く生理前の頭痛を改善するためには症状を改善する漢方薬と瘀血を治す漢方薬の両面作戦で考えることが大切です。
生理前の頭痛 瘀血改善におススメ漢方薬
瘀血を治す漢方薬にはたくさんの種類がありどれを選ぶか難しいのですが、試してみるとよいのが折衝飲(せっしょういん)です。
瘀血改善には長い期間が必要な場合が多くあります。薄紙を剥ぐように体が整ってくるのを待たなくてはならず、辛抱強く体質改善に取り組まなくてはなりませんが、鎮痛剤に頼らなくても生理前の頭痛が軽くなり、その他の月経前症候群(PMS)症状も改善されることを目指して取り組んでみてはいかがでしょうか。
まとめ
生理前の頭痛に使う漢方薬は検索してみると分かりますが、ご紹介した漢方薬以外にもたくさん出てきます。
月経前症候群(PMS)生理前の頭痛に使う漢方薬は他にもたくさんあります。生理前 頭痛の漢方薬を選ぶ時は、血熱の程度、胃腸の良し悪し、胃内停水、瘀血(おけつ)の有無などを考慮することが大切です。
ここでお伝えしたかったのは、生理前の頭痛の漢方薬を選ぶ時、行き当たりばったりに漢方薬を選ぶのではなく、漢方ではどのような体の原因で生理前の頭痛を起こしていると考えているのか、長引く症状では瘀血の手当ても考慮することが大切です。
さらに、月経前症候群(PMS)生理前の頭痛では自律神経の不調和が多く見られます。河合薬局では自律神経を整えるレム(LEM=シイタケ菌糸体培養培地抽出物)を併用して喜ばれることが多くあります。お困りの方は一度ご相談下さい。