月経前症候群 (PMS) イライラ怒り易い症状の改善は血熱を治す漢方

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月経前症候群 (PMS) イライラ怒り易い症状の改善は血熱を治す漢方

多くの女性がお悩みを抱える月経前症候群(PMS; Premenstrual Syndrome)は、生理開始の2週間ないし1週間位前から起こる体と心の不調です。漢方ではこれら体と心の不調の原因を血熱(血液中に熱が滞る状態)と捉えて手当法を組み立てます。

更年期障害 Wikipediaより抜粋
月経前症候群(げっけいぜんしょうこうぐん、英: PMS; Premenstrual Syndrome)は、数か月にわたって月経の周期に伴って、月経の2週間ないし1週間位前からおこり、月経開始とともに消失する、一連の身体的、および精神的症状を示す症候群(いろいろな症状の集まり)である。

月経前緊張症(げっけいぜんきんちょうしょう)とも。診断基準に合致するものは、社会的または経済的な能力に明確に障害がある場合である。正確な原因は不明である。月経前症候群が5.4%、精神障害としての月経前不快気分障害(PMDD)が1.2%の有病率であり、 欧米では2~4%とされる。

治療には、栄養改善と定期的な運動が推奨される。イギリスのガイドラインでは、薬物療法の前に、チェストツリー、大豆イソフラボンやセント・ジョーンズ・ワートによる補完療法や、ビタミンB6・マグネシウム・カルシウムの補充が推奨されている。より症状が重い場合には、SSRI系抗うつ薬や認知行動療法、経口避妊薬やホルモンが推奨されている。
(抜粋ここまで)
河合薬局電話相談

月経前症候群(PMS)の症状

月経前症候群の代表的な精神的症状には、怒りやすい、反感、闘争的や憂鬱、緊張、判断力低下、不決断、無気力、孤独感、疲れやすい、不眠、パニック、妄想症、集中力低下、気力が続かない、涙もろい、悪夢を見る、異性に対してのみ攻撃的になり暴力をふるうなど沢山の症状があります。

月経前症候群(PMS) 漢方の考え方

漢方では月経前症候群・PMSに対して血熱(血熱)と呼ぶ体の深部に熱が滞った状態をどうやって治すか?という考えで治療法を組み立てます。血熱とは血液の熱を体外に取り出せず滞った血液と共に体に熱がこもってしまう状態を指します。

私たちは食べ物を体の中で熱エネルギーに変えて体を維持しています。したがって体の中にはいつも熱が充満していますが、一方で余分な熱を体の外に取り出してバランスを取っています。

例えば、大便や小便は食べかすや水を出しているだけではなく体内の熱を外に取り出す手段なのです。また、汗によっても体表から熱を飛ばして取り出しています。
参照 女性の火照りのぼせ汗が止まらない悩み 更年期障害をスッキリ解消!貴女におススメ漢方4処方

さらに女性にとって体外に熱を取り出す手段として一番重要なのが生理です。

症状改善の決め手は血熱を治すこと

生理は出血によって大量の熱を体の外に取り出しているのです。女性の体は生理の7日~10日前頃になると生理に備えて体内に熱を溜め込む時期に入りますが、加えて血熱の体質原因があるといっそう血液循環が悪くなり激しい熱の滞りとなって様々な症状を引き起こします。

いわゆる「頭に血が上る」とは体に滞った熱を頭から湯気を立てるように頭部上半身から取り出そうとしている状態と漢方では考えます。このような状態が起こると脳の血流が悪くなり、怒りやすい、緊張、判断力低下、パニック、妄想症、集中力低下、攻撃的な性格に変わる、などの精神神経症状が現れます。
参照 河合斎 婦人雑病脈証并治第二十二 解説

婦人雑病脈証并治第二十二 1条には、出血とは血中から熱を去る、中風や傷寒が月経中に重なり血中に熱が入るに因って起る血熱の病証と少腹の瘀血について解説されています。

この条文で生理の出血があれば熱は取り除かれるが止まってしまうと出血すべき熱を帯びた血は出れなくなり結してしまい激しい症状を起こすとあります。このような症状の時には小柴胡湯(しょうさいことう)の主治だという内容です。

怒りやすい、イライラに抑肝散加陳皮半夏

月経前症候群(PMS)のイライラ怒り易い症状に使う漢方薬は1種類ではありません。怒りやすい、イライラを改善するための漢方薬を選ぶ基準は血熱の程度、胃腸良し悪し、瘀血(おけつ)と呼ぶ血液の滞りの有無などを考慮することが大切です。PMSが改善した女性のイメージ画像

数多い漢方薬の中で河合薬局のお勧めは抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)です。抑肝散加陳皮半夏は抑肝散に胃腸の働きを援ける陳皮と半夏が加わった漢方薬です。この漢方薬には柴胡、釣藤鈎が配合されています。

柴胡 胸脇の熱の鬱滞を裏気を和し発表する。裡和発表
釣藤鈎 頭内の血管拡張、降圧、胃気弱熱気の上衝による血を散らす

さらに、鬱血を散らす川芎、血液を補う当帰も加わっています。
参照 傷寒論 金匱要略に用いられる薬物、薬能一覧

そしてイライラ、怒り易い症状が激しい場合や緊張、パニックなど筋肉硬直を伴う場合は芍薬甘草湯を併せて飲むのが良いでしょう。

まとめ

今回ご紹介した抑肝散加陳皮半夏や芍薬甘草は月経前症候群(PMS)のイライラ怒り易い症状の悩みのごく一部に対応する漢方薬です。

PMSに使う漢方薬は検索してみると分かりますが、ご紹介した薬以外にもたくさん出てきます。ここでお伝えしたかったのは、PMSの漢方薬を選ぶ時、行き当たりばったりに漢方薬を選ぶのではなく、漢方ではPMS症状をどのような体の原因で起こしていると考えているのか、症状の虚実、長引く症状では瘀血の手当ても考慮することが大切です。

さらに、PMSでは自律神経の不調和が多く見られます。河合薬局では自律神経を整えるレム(LEM=シイタケ菌糸体培養培地抽出物)を併用して喜ばれることが多くあります。お困りの方は一度ご相談下さい。

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