更年期障害の症状を改善する漢方薬を上手に選べる基礎知識と具体例

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更年期障害のホテリに悩む女性のイメージ画像と更年期障害によく効く漢方

更年期障害の症状を改善する漢方薬を上手に選べる基礎知識と具体例

昔は、更年期障害の年齢に差し掛かる頃には子育ても終わり、自分自身のことに気を配れる環境だったのが、現代女性は、子育て&介護&仕事+更年期障害の四重苦と呼ばれるほど更年期の症状が激しく長く続きやすいのだそうです。

女性は7の倍数で体に変化が現れるといいます。7×7=49歳頃に女性は閉経を迎えその前後に更年期障害の悩みが多くなります。そんな更年期の悩みをスッキリ解消できれば素晴らしいですね。漢方がお役に立つかもしれません。

女性の閉経期にかけて現れる不快な更年期障害の症状によく効く漢方を4種類ご紹介します。ご注意頂きたいのは、更年期障害の漢方はあなたの体質や症状に合わせて選ぶことが大切です。ですから更年期の漢方は信頼できる専門家に相談して服用することが一番です。

さらに甲状腺機能障害など別の原因で似た症状を起こす場合もありますので注意が必要なことを覚えておいて下さい。今回ご紹介する漢方薬は河合薬局でもお勧めして評判の良い漢方薬ですから、7日~10日間ほどの短期間お試しになって自分に合う合わないを確かめながらお飲みになることをお勧めします。

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女性更年期障害に現れる主な症状

ホットフラッシュと呼ぶ顔のほてり、のぼせや顔から汗が止まらない、カァーとして頭に血が上りイライラする、また逆にプチうつでやる気が起きないなど、現れる症状は様々ですが漢方ではどのように考えて改善するのでしょうか?

更年期障害、漢方の考え方

漢方では体に熱が滞った状態をどうやって治すか?という考えで治療法を組み立て改善します。
私たちは食べ物を体の中で熱エネルギーに変えて体を維持しています。したがって体の中にはいつも熱が充満していますが、一方で余分な熱を体の外に取り出してバランスを取っています。
例えば、大便や小便は食べかすや水を取り出しているだけではなく体内の熱を外に取り出す手段です。また汗によって体表から熱を発散させて取り出しています。
さらに女性にとって一番重要なのが生理です。生理は出血によってたくさんの熱を体の外に取り出しているのです。

つらい症状の原因は、血熱(けつねつ)

漢方には血熱と呼ぶ症状があります。血熱とは、血液の熱を体外に取り出せず滞った血液と共に熱がこもってしまう状態のことです。
血液は体内で栄養を運んでいるだけでなく体の隅々に熱を運んでいるので血液が循環せず滞ってしまうと激しい熱の滞りとなって体の様々な症状の原因になるのです。
生理が更年期に差し掛かり量が減ってきたり生理周期が乱れ不順になると血熱を体の外に十分に取り出すことが出来なくなってきます。
すると体はこもった熱を他の場所から取り出そうとします。「頭から湯気を立てる」と言いますが一番血液と熱を集めやすい頭部、上半身から熱気を吹き出しているのが顔のほてりやのぼせです。
血液中の水分を絞り出すようにして血中の熱を取り出そうとしているのが玉の汗で、顔から汗が止まらないという症状です。
カァーとして頭に血が上りイライラする症状は血熱のせいで、脳の血の巡りが悪くなった状態として捉えることが出来ます。

血熱を取り除く漢方薬、第一の基本処方は小柴胡湯

婦人雑病脈証并治第二十二 1条 解説 河合斎 参照
解説から分かるように皮膚からの発散が滞る状態を起こし加えて生理の出血で血熱を取り出すことが出来ない場合は皮膚の熱が深くまで及んで、熱が溢れてくればカッカッとし、冷めてくればゾクゾクを繰り返す。改善するためには小柴胡湯(しょうさいことう)を飲みなさいという教えです。顔ばかりが火照ったり顔や上半身の汗が止まらないお悩み症状に応用が出来ます。

神経症状を伴う場合は柴胡加龍骨牡蛎湯

2条では意味深い注意書きが記されています。イライラや幻覚に似た強い症状が現れた場合に見誤り、発熱があるからといって汗を出させる薬や汗をかかせるようなことをすると熱が更に増して病気が重くなることも教えてくれています。
体の表面にも、内側にも熱がこもった症状が有ったり神経症状が現れる時は柴胡加龍骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)を飲みなさい、という教えです。血熱が増して熱の滞りが深部に及びイライラや夢にうなされたり神経症状が現れてくる場合は試してみると良い漢方薬です。

プチ鬱、やる気がしない悩み症状に半夏厚朴湯

更年期症状で気分の落ち込み、憂鬱、やる気がしない、体が重いなどの症状は、日頃から胃腸が弱く体表からの発散が不活発な女性が起こしやすい症状です。喉の痞えや胸の違和感を訴える場合は半夏厚朴湯がよく効きます。
河合薬局では神経症状が加わってるこれらの症状には加味帰脾湯と半夏厚朴湯を併せてお勧めして喜ばれることが多いです。

こちらも参考にご覧下さい 更年期障害に現れる倦怠感を漢方薬で改善するための知識と具体例

症状を長引かせるもう一つの原因、瘀血=おけつ

女性更年期症状の改善に考慮しなくてはならない大切なことがあります。瘀血=おけつ(ヤマイダレに於と書く)と呼ぶ漢方独特の病気の原因です。
お血の解説でよく見られるのが血液が汚れている状態を指すというものですが、これは誤りでお血は血液の流れの滞りを指します。お血と呼ぶ状態にも数種類あり、河合斎はお血が起こる成り立ち「お血の三態」を過去に論文で発表しています。例えば血液を採り試験管に立てておくとしばらく後には2層に分かれ下には血球成分が、上には血漿成分が溜まります。特に女性更年期症状で考慮しなくてはならないお血のタイプは血球成分の変性によるタイプのお血です。

瘀血を治すことが体に備わっている自然治癒力を活発にする

私たちの体は悪いところがあるとその場所に血液を集めて自力で治そうとします。新鮮な血液がスムーズに届くかどうかが自然治癒力が活発に働くかどうかの決め手です。ところが瘀血が血液の流れを滞らせているとせっかくの自然治癒力が上手く発揮されません。ですから、症状を改善するための漢方薬と瘀血を治す漢方薬を併せて飲むことが症状を改善するために大切な場合が多くあります。

更年期年齢の女性が試してみるとよい、温経湯

9条の解説のとおり、五十才位、閉経間もない婦人が下利が続いて数十日も止まらないという症状でも、この場合は胃腸が原因ではなく下腹の瘀血のために様々な自覚症状が現れている場合があることを教えています。瘀血を取り去り胃腸の働きを整え血液の流れを潤すために温経湯を飲みなさいという教えです。代表的な瘀血を取り去る漢方薬に抵当湯がありますが、温経湯とは虚実の差があるのが特徴です。

まとめ

今回ご紹介した4処方はあくまでも基本処方で、更年期障害に使う漢方薬は検索してみると分かりますが、ご紹介した薬以外にもたくさん出てきます。ここでお伝えしたかった大切なことは、更年期の漢方薬を選ぶ時、漢方では更年期障害の症状をどのような体の原因で起こしていると考えているのか、病人の症状の虚実、長引く症状では瘀血の手当ても考慮することが大切です。
さらに、女性更年期障害では自律神経の不調和が多く見られます。河合薬局では自律神経を整えるレム(LEM=シイタケ菌糸体培養培地抽出物)を併用して喜ばれることが多くあります。お困りの方は一度ご相談下さい。

さらに、漢方を志す学徒の方々には「金匱要略解説 河合斎」を座右の書として反復学習し漢方の奥義を究めて頂ければ幸いです。

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60代女性の相談例 体がダルイ、気力がない

60代女性の相談例です。1年前にめまい、立ちくらみと貧血症状を起こし体力に自信がなくなってしまったそうです。やる気が失せて外出する気力も低下し朝、気分が落ち込んですっきりしないため1日中部屋でボッーとしていることもあるという深刻なお悩み相談です。ストレスに弱い体質というご自身からの訴えもありました。

胃腸の働きが弱くそのため体表からの発散が悪い体質を治すための漢方薬と自律神経を整えるレム(シイタケ菌糸体培養培地抽出物)をお勧めしました。

1週間後
朝の気分の塞がりが少し改善してきたようだ

2週間後
朝から動けるようになり頭が重い症状がなくなってきた。

30日後
頭に霧がかかっていたような不快な症状がなくなって、外出できるようになってとても嬉しいと喜ばれた。

2か月後
体調が良いので漢方薬は1日おきに服用するようにお勧め。レムは毎日飲みたい。レムを飲んでいると気持ちが落ち着きとても気分が良く、安心できるとのこと。

8か月後~現在
漢方薬を飲まなくても体調が良く安定している。レムは飲んでいると安心できるのでずっと続けている。不安な気持ちになった時にすぐ飲めるようにお守り代わりに感応丸(かんのうがん)を持ち歩いている。

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