傷寒論 辨可下病脈証并治 第二十一 解説

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辨可下病脈証并治第二十一

1条 大法秋は下すに宜し。

一般的に秋は陽気下行し蒸泄が乏しくなる時で病邪は内に入り胃熱滞り易く下法に適した季節である。

2条 凡そ下薬を服するに湯を用いるは丸に勝る、病に中れば即ち止む必ずしも剤を尽くさざる也。

一般的に下薬を服用する場合は湯液を用いる方が蕩滌する力は丸剤に勝る、下利すれば直ぐに服用を止め一日分を全部服み尽す必要は無い。

3条 下利し三部の脈皆平、之れを按じ心下鞕なる者は急ぎ之れを下せ、大承気湯に宜し。
…金匱嘔吐下利37条 三部を衝陽太谿寸口とすれば衝陽には異常が出る筈。

下利が止もうとする時の脈は微である筈が撓骨三部の脈が皆平で下利が続いているのは脾胃の邪熱は已に愈えているのである、それでいて下利止まず心下がい場合は脾胃虚し胃に宿食の停滞が在り胃気が回復されず下利が止まないのである、急いで宿食を下し胃気を回復させねばならない、大承気湯を用いるのが宜しい。

4条 下利し脈遅而して滑の者は内実する也、利未だ止まんと欲せず当に之れを下すべし、大承気湯に宜し。
金匱嘔吐下利38条

下利し脈が遅で滑の場合は内に熱が滞るのである、此れは燥屎が胃を塞ぐからで此の儘では下利は止まないから大承気湯で燥屎を下すのが宜しい。

5条 問うて曰く、人病みて宿食有るは何を以て之れを別つか、師曰く、寸口の脈浮にして大之れを按じて反って渋、尺中も亦微にして渋、故に宿食有るを知る当に之れを下すべし、大承気湯に宜し。
脈浮大は辨脈39条(大逆) 不可下15条(大逆)、金匱腹満宿食24条(同文)参照  …脾虚胃実に因る。

病人が熱が有りそれが宿食に因る者か如何かを弁別するには宿食に因る発熱の場合は表実して浮而大の脈を現しているのではなく裏気が通じない為に熱が浮かんでいるのだから脈は浮而大でも按じると渋、尺中の脈も亦按じて微で渋の虚脈で腹脹満等の証を伴う、其れで宿食の有る事が分かる、此の場合には当然下す、大承気湯を用いるのが宜しい。

6条 下利し食を欲せざる者は宿食有るを以ての故也、当に之れを下すに宜しかるべし大承気湯を与う。
…金匱腹満宿食26条

下利をし腹満して食欲がない場合は宿食が胃気を塞ぎ下焦虚しているのである、当然下すのが宜しい、大承気湯を与えよ。
…腹満の他 脈沈実と弱あり(下利の脈)

7条 下利差えて後其の年月日に至り復た発する者は病尽きざるを以ての故也、当に之れを下すべし、大承気湯に宜し。
金匱嘔吐下利40条

下利が愈えて後 同じ時期になって再び下利する場合は脾胃が完全には回復せず再び宿食が積もって来たのであって未だ脾胃の機能が完治していなかったのである、宿食を下すのが宜しい、大承気湯を用いよ。

8条 下利し脈反って滑なるは当に去らんとする所有るべし、之れを下せば乃ち愈ゆ、大承気湯に宜し。 金匱嘔吐下利39条

下利の脈は微であるべきに脈状が滑である場合は燥屎に塞がれ熱の滞りがあるのである此の場合は燥屎を下せば治癒する、大承気湯を用いるのが宜しい。

9条 病みて腹中満痛する者は此れ実と為す也、当に之れを下すべし、大承気湯に宜し。
…金匱下利36条(下利し腹脹満)裏虚、参照

病人が腹が一杯に張って痛む場合は燥屎に因る胃実である、当然下さなければならない、大承気湯が宜しい。

10条 傷寒の後 脈沈 沈の者は内実する也、下して之れを解せ。大柴胡湯に宜し。

傷寒を患った後身熱が除かれず脈は沈「実」である場合、脈沈「実」は胃気実して通じないのである下すのが宜しい、此の場合は少陽陽明の合病で大柴胡湯が宜しい。太陽下(p107)36条(下利し心中痞)参照

11条 脈雙弦而して遅の者は必ず心下し、脈大而して緊なる者は陽中陰有る也、以て之れを下すべし、大承気湯に宜し。
金匱痰飲5条(雙弦は寒)腹満寒疝20条

左脈を陽とし右脈を陰とする、脈細で雙弦は胃内停水が有り胃寒する、遅は陽気不足、脾寒に因る、必ず心下を起こす、此の場合は胃中の寒であるが脈が中按で大で重按して緊を現す場合は心下でも大は陽気の大で有るから胃中に宿食が在り胃気が滞っているのである、下さねばならない、大承気湯が宜しい。

【引用・転載の際は河合薬局までご連絡願います】

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